イスラーム圏からの子育て留学生へのインタビュー
先日、子育て中のムスリム留学生へのインタビューを行いました。
日本に来て小さな子ども2人と、パートナーと共に暮らし、研究をしているAさんです。
文字起こしをする時間が今ないのでとりあえず、要約したものとコメントをアップします。(英語でのお話です。どなたか勉強がてら文字起こしできる人いたら声をかけてください^^)
大きくは二点、言語と文化(宗教)の壁が大変だったとのことです。 (担当:ウスマン かつら)
1.言語の壁
全ての留学生にとって大変なのが言語の壁。阪大内では英語ができる人が多いが、外に出ると言語の厚い壁がある。
【病院】
・特にAさんの場合子どもが大きな病気をして、一ヶ月病院に付き添った。誰も英語が話せる人がいなくてとても大変だった。一人だけ英語が話せる医師がいて助かった。
・入院中の子どもが転院することになった。転院先で一時的に大部屋に入った。新しい環境でいつ個室に移ることができるかわからない。その時免疫が落ち、感染しやすい状況だったのに、その情報がきちんと伝わっているかどうかもわからず、伝えたくても英語が通じない。結局通訳の人が来たのは次の日だった。
【保育園・幼稚園】
・幼稚園に体操服で行かなければいけない日があるなど、細かい情報がわからない。身振りとグーグル翻訳で(!)なんとか意思疎通を図ったこともあるが、とても時間と労力がかかる。
-聞き手からのコメント
自分が文系の学生なので、「留学生」と聞くとつい日本語を勉強しに来たり、あらかじめ勉強してから日本へ来ているものだと思ってしまっていた。
阪大に多くいる理系の研究者、学生は研究室でも常に英語なので、日本に住んでいても言葉の壁は厚い。本人が日本語習得を目指している場合も多いけれど、病院に行った際や日常的な保育園でのコミュニケーションが取れない、というのはとてもストレスが溜まるだろうと想像できる。
また、こどもたちは保育園などで言語を習得していっても、親は家事や研究で十分に時間が取れない。今回のケースだと、子どもたちのお母さんは英語もそんなに話さないし、日本語もわからないとのこと。Aさんが遠出している時など、お母さんが一人で病院に連れて行くことはとてもハードルが高いと思う。高学歴な病院の先生でも全然英語ができない人が多いというのは、普段日本語で接しているとわからず意外だった。子どもの入院は、ただでさえ一大事なのに、薬や処置のことなどがうまく伝わらないのは命にも関わる。想像することができなぐらい心配だったと思う。
さらに、Aさんのようなムスリムにとっては保育園・幼稚園や病院での食べ物、文化(宗教)の違いも壁となる。
2.文化(宗教)的な壁(イスラームと日本)
【保育園・幼稚園】
・食べ物の問題。何が入っているかわからない。豚・アルコールはもちろん、動物性のもの、ゼラチンなどが入っていると食べられない。ミルクも100%でないものは飲めない。お弁当で対処していた。
・出身国では子供であっても裸を見せてはいけないので、個別に隠しながら着替える。最低でも男女は分ける。
・トイレも、ドアを閉めずにする、男女が一緒にする、というのもダメ。
【病院】
・病院でも同じように食べ物の問題がある。
・上記の転院の際、個室であれば、パートナーもヴェールを脱ぎリラックスできるが、大部屋だったのでそうはいかなかった。英語ができる人がいつ来るかわからない中、長時間待たされることになりとても辛かった。
-聞き手からのコメント
自分自身の経験と照らし合わせてみると、保育園からは配布物や細かい連絡事項がとても多い。「〇〇ちゃんとケンカして・・・」といった連絡事項の場合は、その〇〇ちゃんの親御さんとのコミュニケーションも大事。そのあたりまで含めて、コミュニケーションが円滑に行かないのはとても辛いと思う。
病院の件も、少しの知識があればなんらかの配慮ができるかもしれない。メディエーターを介した文化(宗教)的な部分の知識や常識の共有が必要。
3.現状の解決方法と要望
日本語のできる友人に付き添ってもらうことでなんとかコミュニケーションをとっているが、友人もいつも来れるわけではない、とのこと。
言葉の壁に対処するアイデアとしては、少なくとも幼稚園や保育園の一人は英語を話すスタッフを入れるようにして欲しい、英語を勉強したい学生ボランティアが付き添える仕組みを作る、相談・付き添いができる窓口とスタッフがいてくれれば、といったものが出ました。
医療通訳となると責任があり専門性が高くなりますが、最低限のコミュニケーションを取ることを手伝えるような仕組みが必要だと感じました。
(ウスマン かつら)
追記:
すこし調べてみて、豊中や箕面の「国流」につながれれば、つかえるしくみや繋がれる人が増えるのではないかと思いました。
子育て留学生に、大学からこうした機関についての情報っていっていないのだろうか?
でも、よく考えてみたら自分の院生の入学手続きのときに、地域の子育て支援の仕組みについて、とくに情報をもらえるような場面ってひとかけらもないなあ。だからきっとないんじゃないかなあ。
前のシンポジウムでも出た話だけれども、学生も院生も、子どもとともに生活していくことになる可能性も持っているから、「学生生活支援」の視野のなかに、こうした情報のハブになる役割が入ってきてくれると助かる人がふえるんじゃないか、と思いました。
(かつらのぐち)
さらに追記:
いややっぱ、「学生生活支援」にしたら、学生以外はアクセスしにくいからあんまりよろしないかなー。
(かつらのぐち)
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